ゲスト:山口一史さん NPO法人ひょうご・まち・くらし研究所常任理事
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■社屋が崩壊、新聞発行も危ぶまれた
神戸新聞では、長い間、経済記者をしていました。阪神・淡路大震災の時も神戸新聞にいました。社屋がつぶれてしまい、新聞が発行できるかどうかの瀬戸際でした。京都新聞と業務協定を結んでいたおかげで、新聞を届けることができました。まさか神戸新聞が助けてもらうことになるなんて、夢にも思わなかったです。
■ひょうごまち・くらし研究所
2003年にでき、2004年1月にNPO法人として認証を受けた団体です。
「大きな災害のときに人々のくらしをどう復興していくか?」というテーマをもとに活動をしています。「災害で人々がどう乗り越えてきたか」を分析して、次の災害の時に提案をしていきます。また、障害者の作業所の運営についても支援をしています。
■まちづくりへの関心
もともと私は、“村おこし”や“まちおこし”など地域全体で協力をして何かをつくっていくことに興味がありました。震災があり、“まちづくり”への関心になりました。社会の声も、震災を機に大きくなったと思います。
阪神・淡路大震災の時、全国からたくさんのボランティアが来ました。メディアの人間として、彼らと接していて、「なんで給料もほとんどないのに、この人たちはニコニコしているんだろう?」と羨ましく思っていました。
■便利さに依存しすぎている
阪神・淡路大震災の時、神戸新聞も生活情報をたくさん流しました。電話の状態も悪く、インターネットもないので、読者からの情報を裏もとらずに記事にしましたが、間違った情報は1つもありませんでした。17年が経ち、通信手段は便利になりました。しかし、それに頼りすぎている部分があるかもしれません。
■石巻日日新聞
壁新聞を読んでいると、毎日の復興・復旧情報がとてもよく分かります。石巻日日新聞の壁新聞も、報道する側は「今伝えられることを伝えたい・知らせたい」と思い書きました。読者もこの思いを感じ、しっかり読んでいました。
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■みんなが集まるきっかけづくり
引きこもりがちになる中高年の女性の方が集まってくるきっかけづくりとして、手芸品のキットをお送りしています。手芸は手も動かしますが、口も動かします。知らなかった人が仲良くなります。しじみ貝を加工したストラップや、かえるの形の袋にペレットを入れて、立ったり座ったり形を作れます。高齢者の方でも簡単に作れます。
障害者作業所の仕事づくりとして、新商品の企画をして、作れるようにしています。新商品「結ばなくてもいいふろしき」は、若い人は、蝶々結びが出来ない人が多いので、考えたものです。
■“共感”で人があつまる
西宮の木馬の会の方々にもお手伝いをいただいていますが、材料のしじみ貝がなかなか集まらず苦労しました。東灘の助け合いネットワークにも協力をいただき、チラシを作りました。すると、偶然にも、島根県の宍道湖(しじみの産地)の近くに単身赴任しているご主人とつながることができました。神戸に戻る時には、島根からしじみの貝殻を担いで帰ってもらっています。「努力すれば応えていただけるのだ」と思いました。
店が全部流れてしまい、針や糸を調達するのは難しい状態です。お金があってもなかなか手に入らないものなので、こちらから送ると喜ばれます。
■初めてのお給料日
宮城県の七ヶ浜では、商品をとりまとめているNPOが、わずかですが加工賃をお支払いしました。最初は遠慮されていたのですが、とても喜ばれました。自分の仕事に対してお給料をいただくことは、生きがいや社会とつながっていることの実感につながっているのではないかと思います。
■これからも足しげく通いたい
お互いに人として話をする、信頼関係をつくる。その中で、仕事の話をしたり、悩みを聞かせていただくことが大切だと思っています。「神戸から来た」と言うと「きっとこの人たちも苦労したんやろう」と阿吽の中で分かっていただけることはたくさんあります。私たちも、伝えたいという強い気持ちがありますね。
■“ひと”をみる
肩書きなどに惑わされず、普段から、ひとをみる目やこころを鍛えていくことが大切です。ネットワークをつくって、助け合えるように、日頃からアンテナを張って、いろんな人とお付き合いをしながら、得意技を貯金しておくことが大切だと思います。