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川池知代さん現在JICA兵庫国際防災研修センター業務調整員
神戸生まれの神戸育ち、親の実家は長田神社の北側。でも震災当時は、JICA兵庫の青年海外協力隊の一員として、西アフリカの象牙海岸共和国=コートジボワール共和国にいた。事務所からの連絡でCNNのニュースを見たときは、生きた心地がしなかった。
一時帰国で神戸に帰れたのは、95年の夏。長田のまちは、見渡す限り更地だらけの広大な平原。まるで夢を見ているようだった。半年たった被災地は、いろんな人々が「あの時は本当に地獄だった」とか「近所の人たちの救援のおかげで、助け出された」とやっと話し始めていた時期。幸運にも怪我もなかった親戚はもとより、生まれ育った地域の近所の人々の話を聞く中で「なんで自分はその苦労を共にしなかったのか」「神戸人なのに何も知らない」という「知らない」「経験」しなかったことに罪悪感を覚えた。
そんな時ひとりの友人の言葉が自分を救った。「あんなひどい経験!あんな残酷な景色を見なくてよかった!それでよかったのよ」という言葉。
経験しなかった自分だからこそ、神戸で生まれた様々な助け合いの心、そして新たに生まれた様々な取り組み、それを伝えてゆく人間となれる。そしてアフリカの発展途上国といわれる人々の便利ではない生活の中で培われているその生きる力、ノウハウも合わせて日本に伝え、相互の協力体制というところから現職へと繋がっていると感じている。