
4月トーク1 多文化共生センター代表理事 田村太郎さん
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現在、多言語で情報提供をするために全国4ヶ所に活動の拠点をおいている田村太郎さん。
震災時は伊丹に居住。もともとスペイン語を話すことができたので、大阪でフィリピン人向けのビデオレンタル屋をしていました。地震によって多くの外国人が困っていることを知り、多言語で情報を届けようと思ったのがきっかけで、多文化の共生できるセンターを大阪にたちあげました。震災の現場ではなく大阪に事務所を置くことによって、適度な距離を置いたところから被災の全体を把握することができました。
はじめは7人でたちあげ、外国人からの相談受け付けをはじめたのですが、現状は思っていたより深刻でした。
なかでも多かった相談は、「お金・仕事・家」について。震災で外国人が困っていることは目に見て分かることだけではなく、言語の違いによって伝えられない悩み・不安は生活に重要な部分ばかりでした。
避難所に行けば、救済における申請書はそろえてありますが、被害が多ければ多いほど、外国人にとってはその“申請”という、読んで分かる資料の理解が難しい…言葉の壁によって悩んでいる彼らを、さまざまな言語によって助ける活動を行いました。
活動を通じて気づいたことは、日常生活で外国人に対する情報が極端に少なかったということです。外国人にとっては、なにも震災だからといって困っていたわけではなく、普段から得られる情報の少なさにずっと困っていたということでした。
4月トーク2 多文化共生センター代表理事 田村太郎さん
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日本で生活している外国人の問題として、あまり知られていないのが「教育」について。日本では学校に行くはずの年齢なのに、就学していない外国人は、全体の2割ほどもいるのが現状です。
家庭の事情や、学校からの通達の問題など、様々な背景があります。
そして最近力をいれていることは、企業向けのセミナー。もっと外国人を雇用してください、ということを企業に呼びかける活動をしています。日本の型にはまった内容ばかりではなく、職場が多文化になっていくことは、企業にとっても良いことであるのではないでしょうか。最近は、介護の現場に多くの外国人が雇用されていますが、あらゆる職場に多文化共存のマネジメントがなされていくことが重要だと考えています。
今後は、外国人と日本人の違いだけではなく、男女の違い・障害のあるないの違い・年齢の違い など、様々な“違い”に着目した地域づくりを目指して活動をしていきたいと思っています。また、今後再び災害が起こった時に、スムーズに避難生活が送れるような訓練も行っています。「一泊宿泊訓練」という、実際に避難所生活を1泊体験することで、現状を頭で理解しただけでは気づかなかった問題点、また、どのような張り紙がより役に立つかなどの改善点や、災害の状況でよく使われる単語は何かなど、身を持って感じることができます。
普段目に見えないところに隠れていた、いろんな問題の“ふた”が開いてしまったのが震災であったと思います。今後の教訓としては、その問題にもう一度“ふた”をしてしまうのではなく、見つけたものに対してきちんと取り組み、より良い地域づくりをしていくことが私達につきつけられた課題だと思っています。