2009年07月09日

7月 被災地学生交流事業IN神戸

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神戸大学大学院 工学研究科 建築学専攻 近藤民代さん
<トーク1>
 被災地学生交流事業を始めようと思ったのは、神戸で学んでいる留学生に神戸の震災の教訓を学んで欲しいと思ったのがきっかけ。神戸大学1回生の時に震災を経験し、当日は滋賀の実家にいたが、地震を経験したというのが災害に関わり始めたきっかけだ。あれだけ住宅が潰れて人が亡くなったというのは、建築を勉強している者にとっては大きな衝撃だった。
 HAT神戸にある人と未来防災センターで4年間研究をした。1つは、都道府県や市町村が、地震や水害後いかに避難者を効果的に支援できるかという行政の応急対応、もう1つは住宅の復興で、アメリカニューオーリンズのハリケーン後に現地にも入って研究を続けている。アメリカの復興は、神戸に比べすごく遅い。神戸では災害復興公営住宅を短期間に作って被災者が入れるようにしたが、アメリカでは公的に住宅を作って入らせてもらえるという政策はない。元々の公営住宅のストック自体も少ない。今回は堤防が決壊して住宅がなくなったということで、個人が自力で住宅再建をする場合は補償という形で1500万まで支給されるという制度はあるが、いろいろ問題はあってなかなか進んでいない。神戸では、仮設住宅、復興住宅で郊外に住むことになり、住み慣れた町、ご近所さんと離れてしまったという問題はあったが、短期間で住む場所を行政が提供したというのは、町の復興にすごく大きい役割を果たしたと思う。でも、住んでいた場所に住み続けられるというのは被災者が望むことなので、次に災害があったときには考えないといけないこと。そういう意味では、阪神大震災以降の日本の被災地では、このマイナスの教訓を生かしているかもしれない。
<トーク2>
兵庫県下の留学生に震災のことを学んでもらおうという被災地学生交流事業(仮称)を立ち上げた。きっかけは、阪神淡路大震災以降、新潟や能登でも地震があり、世界でもミャンマーのサイクロン、アメリカのハリケーンカトリーナ、インド洋の津波、四川地震など、災害はなくならない。被災地から来ている留学生も多いが、神戸で学んでいる時に、十数年前に神戸で大震災があったことを知らない留学生も多く、それがもったいないと思ったこと。既に、神戸を中心に、神戸の教訓を世界中に語り継いでいく世界の語り継ぎネットワーク「テルネット」という活動があり、他の教授等とも一緒にこの事業を始めようとしている。神戸大学の留学生に限らず、神戸の近くで勉強している留学生を巻き込んで、彼らが母国に戻った時に生かしてもらえればと思っている。震災の教訓を語り継いでいきたいという意欲的な市民がいるのが神戸の財産なので、神戸の町を歩いて、復興に携わった人から直接聞いて学んで欲しい。留学生の中にも家族が災害にあった人もいるだろうので、神戸市民が留学生から話を聞いて世界から学ぶということも念頭においている。お互いが学び、それを神戸から発信していき、減災に役立てていきたい。海外からの視察者も多いが、震災から14年たった今も、市民が震災復興に取り組み、熱心に語り継ごうとしていることに驚いている。
これから、見学や市民との交流を進めていき、15年目を迎える来年1月17日には留学生と市民お互いが学んだことを世界に発信できるシンポジウムをできればと考えている。まだ一年計画でまずは動いてみようというところだが、今後も広げていければと思っていて、いずれは留学生が中心になって、そこに神戸の学生を巻き込んでいければいいと思う。
災害の備えへのアドバイスとしては、災害の原因にもよるが、生活の基盤である住まいで被災する確率は高く、耐震化や家具の固定など住まいを災害から守れるように備えておくことが大切である。
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