
8月のゲストは神戸松蔭高等学校放送部の5人をお招きしました。
3年生の岡田佳奈さん、島野朱眸(あけみ)さん、平尾祥子さん、1年生の屋敷夏希さん、栗木美咲です。3年生の3人にお話していただきました。
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■番組のタイトルは?
島野:「“すきま”を埋めて」というタイトルの番組です。震災の番組を考えていくうちに、神戸の方々の心がどんどんすきまができていっているなという感じがしました。そのすきまをうめていきたいという願望もこめています。
■番組作成のきっかけは?
島野:震災関連番組の班のメンバーは今日来ている5人です。震災関連番組のメンバーは、やりたい人が集いました。私はその班のリーダーをしています。ほかにも、NHKコンクール出展に向けて、「なぜ人は笑うのか」「性同一性障害」「ドラック」というテーマにラジオ番組やテレビドラマを作成した班もあります。
平尾:震災の時は1歳でした。震災のことは小学校のときに少し習ったことがありました。家の近くの跡地なども気になるようになりました。
♪では、実際に「“すきま”を埋めて」を少し聞いてみましょう。
2010年1月17日私たちは、1.17の集いに参加しました。この日で震災から15年が経ちました。
生まれて間もなかった私たちには記憶がほとんどありません。神戸の高校生は、震災に関してどう思っているのでしょうか。
「5月?6月?」「震災あった日っていつ?」「そのとき生まれてなくてよかったと思いました。」神戸の高校生は震災について無関心です。本当に震災は忘れられようとしているのでしょうか。
1.17の集いで被災者の人にも聞きました。
「震災を体験している人が減ってきた感じがする。通じない。でも忘れてはいけない。」「2ヶ月半ほど板宿小学校で避難してた。それから体調を崩して1年寝たきりだった。」「2階だけ残った。1階に寝ていた母と子どもはぺしゃんこ。」「私もう取材受けたくなくてね。」
■インタビューはどうでしたか?
岡田: 100人くらいにインタビューに行きました。被災された方はみんな知っていると思っているし、若い人は知らなくて当たり前と思っています。心の考え方の違いは感じました。
平尾:1月17日の東遊園地では、インタビューにすぐに答えてくれない方もいました。難しかったです。震災を体験しているのとしていないのでは、ぜんぜん違うと思いました。
■取材の中で、しんどかったことは?
島野:やはり軽いテーマではなかったので、インタビューの中で、家をなくした方などにも出会い、自分たちがどれだけ震災について考えていないかを実感しました。自分たちがまず変わらないといけないと思いました。
■どんな方に取材しましたか?
岡田:当時の様子を取材されていた神戸新聞社の方や、被災地に救助に行かれた自衛隊の方にもインタビューをしました。
平尾:苦労話は今までに聞いたことがなかったので、そういう話が伝わっていってないんだなど思いました。
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■7分のラジオ番組の制作過程での苦労は?
島野:いっぱい良いインタビューがあったので、心に残ったインタビューをピックアップしていきました。それでも、多すぎて、せっかくインタビューしたのに・・・っていう感じでした。
♪「“すきま”を埋めて」後半部分を聞いていただきましょう。
大人は、
「あの瞬間を経験してない限り、同じ感覚を共有することはできないと思う。」「若い人は他人事と思い込んでしまうのかな。」「仕方ないことかもしれないけど。」「薄れてきてるのはしょうがないかなと思う。押し付けるのも変な話やし。」
『仕方のない』という言葉で済ませています。それによって、私たち若者は無関心になっていくのです。
阪神淡路大震災を知ろうとしない若い人たち、
15年経ってもまだ辛くて伝えることができない被災者、
若い人に対して「仕方がない」で済ませている大人。
3つの思いがばらばらになって、今の神戸では心と心のすきまが広がっています。
震災の直後のように、お互いがお互いに関心を持つことが、私たちがするべきことです。心と心のすきまを埋めていきたい、これが私たちの思いです。
■普段の部活動は?
島野:松蔭は、お昼の放送がありません。いつも番組制作やイベントの司会などをしています。
■NHKコンクールの結果はどうでしたか?
島野:県で3位でした。同校の「ドラッグ」をテーマにした作品が準優勝を受賞しました。同校から2作品は全国大会に出せないので、震災の番組は全国大会に行けませんでした。賞が欲しいとかじゃなくて、いまの神戸を知ってもらうために全国大会に行きたかったです。
■友達や家の方にも放送番組を聞いてもらいましたか?
岡田:家の人に聞いてもらいました。若い人の考え方と震災を経験した人とのギャップにびっくりしていました。
平尾:学生が震災の日を覚えてないというのがびっくりしていました。
■この番組を通じてプラスになったことは?
平尾:こんなに神戸の中で、思ってることが離れてると思っていなかったので、それを知れてよかった。すきまを埋めていくためにも頑張りたいです。
岡田:自衛隊とか普通に生活していたら行けないところなので、そのような方にも取材協力してもらえてよかったです。
島野:この震災番組だけでなく、ほかの番組も作っていて、普通の高校生ではできないことをしたりできました。普段考えないことを番組作成を通して、世の中に目を向けられたというのは良かったと思います。
■3年生のみなさん。卒業後、将来の夢は?
岡田:将来は幼稚園の先生になりたいです。でも結婚式とかの司会はしてみたいな。
平尾:私も幼稚園の先生になりたいです。
島野:将来の夢は、番組を支える役になりたいです。