
9月のお客様は、料理講師の正路(しょうじ)ゆかさんです。
正路さんは、FMわぃわぃでも「Yukaのグローバルクッキング」という番組をもっていらっしゃいます。ご自身の震災体験をお話していただきました。
世界中の料理をいろんな方々に教えている正路さん。「国際クッキングクラブ」という料理クラブを主催。また一方では、外国人講師を招いて毎月違う国の家庭料理を習っており、世界の料理についての研究にも勤しむ毎日。このクラブも震災前から始めたもので、もう17年になるそうです。
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■震災時どうされていましたか?
住まいは、細田町の工場地帯でした。工場の事務所の上が家でした。金型の工場でした。金型とは、運動靴や長靴の底の模様(すべらないようにする溝)です。細田町は、お亡くなりになられた方もいましたし、ほとんどの家が全壊でした。
わが家は、壁が2本落ちて、ガス管だけで止まっているような状態でした。母は枕元にたくさん置物(お土産とか)を置いていて、たまたま遊びに来ていた母の姉にガラスのエンゼルフィッシュの置物が鼻先をかすりました。傷は浅くてすんだのですが、顔中血だらけですごくびっくりしました。日頃から高いところに物を置かないように言っていたんですが、ことが起こってみないと現実味がないですもんね。
■震災後、生き方や考え方、行動に変化はありましたか?
周りの状況から考えると、「もしかしたら自分は死んでいたかもしれない」ということが一番大きいです。姑が厳しい人でしたので、震災前は、外に出かけることもあまりありませんでした。でも、震災後、自分が自分らしく生きて生きたいと思うようになりました。料理講師をしたり、会合に出たりするようになりました。最初は、どこに行くの?誰と会うの?と姑に事細かに聞かれていましたが、私の中に、吹っ切れたものがあったので、姑にも伝わったのではないかと思います。
食べるものって思いや愛情が伝えたい相手に確実に伝わります。これをみなさんに伝えたいと思って講師をやっています。
■震災時の食事は?
ある程度のストックみたいなものはありましたけど、冷凍していたものなどをうまく使いながら料理していました。
避難所では、病気になられた方もいらっしゃいましたね。食事に気をつけないといけない糖尿の人は特に大変だったと思います。冷たいお弁当や、甘いジュースしかないこともありましたし、やっと配給されたのがあんぱん、だったりしましたからね。
■当時ご家族は?
私たち夫婦と姑の3人でした。震災で弟の家に避難して、7人で暮らしていました。
■「いざ」の時の心構えはありますか?
「何が起こっても大丈夫な覚悟」が必要だと思います。
口蹄疫、鳥インフルエンザ、洪水・・・ありとあらゆる危険の中で、何が起こってもおかしくない世の中で私たちは生きていますから。

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■「国際クッキングクラブ」をはじめたきっかけは?
「神戸に住んでいて、外国人に外国料理を習いたい!」とずっと思っていました。偶然インド人の方に出会いました。料理を教えることによって、その収益を母国の自分の村で小学校を作りたいという夢を持っている方でした。それで協力しようということになって。
■「国際クッキングクラブ」はどんな教室ですか?
月に1回で、年10回開催しています。なのでもう100回を超えています。中近東のイラン料理やレバノン料理にも挑戦しています。
辛すぎるから薄めたり、日本人の口に合うように味付けを変える、というようなアレンジをしないで、家庭料理を教えてもらうようにしています。世界中の人たちが毎日「おいしい」と食べて、思っているものなんです。慣れていないだけで、私たちにとっても「おいしい」はずです。
神戸は、食材もそろいやすいというのも17年間続けてこれた理由ですね。
長田高校の向かいの池田会館というコミュニティハウスでやっています。人数はいつも20人くらいですね。公募はしていないんですが、いろんな人に参加してもらいたいですね。いつも第4水曜日にやっています。9月はイラン料理です。
7月はエジプト料理で、なすのサラダをしました。焼いたなすに、すっぱいドレッシングをかけるサラダです。暑い国ならではのお料理ですね。
■FMわぃわぃでもおなじみの「グローバルクッキング」。どんな番組ですか?
15分くらいの番組です。吉富さんとかけあいで毎週いろんな国のお料理を紹介しています。
■どんなお料理がありますか? 紹介してください!
夏にさっぱりサラダ。カニの缶詰やブラックタイガーなど魚介と、いろんな野菜を(ゆでたり、生で)サイコロ状に切ります。生クリームとマヨネーズをそれぞれ大さじ2杯ずつ、塩コショウで和えます。とてもさっぱりとしたご馳走なサラダです。
主婦なので、何g、何tというよりは、大さじ1杯とかカップに半分とかアバウトな感じで伝えていますね。
■今の生活は?
本当に楽しいです。生きててよかった!
食を通じて楽しいとか、思いは食べるものに込められるとか、人呼んでホームパーティしてねとかよく言うんです。パーティっていうと、「ご馳走出さなきゃ」ってハードルが高いと思われがちですけど、楽しいパーティできますよって常に言ってます。それが、普段のご近所付き合いにつながって、大きな災害にあった時も助け合えますね。
