2011年3月の「大震災を語り継ぐ」のゲストは、神戸学院大学人文学科教授 前林清和さん
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■「防災・社会貢献ユニット」とは?
学際教育機構という法・経済・経営・人文の4学部の学生が、2年次から3年間、選択して学べるコースです。全国唯一のコースです。防災・社会貢献ユニットの学生は、防災やボランティア、国際協力を専門的に勉強して卒業していくコースです。5〜6年前にスタートしました。学生は、震災を経験している学生は3分の1から半分くらいです。震災を経験した学生も、当時は2、3歳くらいです。
■震災前から防災関連の研究を?
私の専攻は日本思想史です。震災直後から、自分のゼミ生を中心に、リュックサックを背負って、学生の安否確認をしました。ボランティアや防災について、学生と活動を始めたという感じです。これだけ大きな災害があって、負の遺産を次の世代や日本、世界のために教訓として学問体系として発信していきたい、カリキュラムとして組み込まれたものが必要ではないかと考えました。
■学校の危機管理体制はいかがでしたか?
うちの学校だけでなく、どこもだと思いますが、神戸で地震が起きるなんて思っていませんでした。よく考えたら日本どこででも地震は起きるんですけどね。ハードの面でも、ソフトの面でも、人間の意識の面でも、日ごろの備えが大切だということを啓発していきたいです。
■学生はユニットでどんなことを学びますか?
学問的なことも学びますが、実践的な活動も行います。心肺蘇生の訓練も受けますし、市民救命士のインストラクターの資格をとって、中学生や高校生に教えるという活動もしています。中学生や高校生は、学生と年齢が近い分、親しみをもちやすいのではないかと思います。人を教えるということで、学生たちは、徹夜してでも勉強をしてきますので、共に良い学びになると思います。ユニットは、Win-Winの関係を目指しています。新潟や佐用など、被災をした地域にも出向いて活動をしています。大きな活動はできないかもしれませんが、繋がることは支えになるのではないかと思っています。また、非日常の世界は、いくら口で説明しても、本を読んでも分からない部分が多いと思うので、現場に行って学ぶことは大きいと思います。
■いつどこで何が起こるかわからない時代
災害は、増えているし、規模も大きくなってきています。私たちにふりかかってくる可能性は高くなっています。基本的には、自分で自分の身を守るという意識が最も大切です。日ごろそのような学びをしておくことが大切ですし、自分の身が守られた瞬間に、周りの人を助けようという共助の感覚を一人一人が見につけておく必要があると思います。
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■地域の大学との連携 〜ポーアイにある4大学〜
ポートアイランドにある4大学(神戸学院大学、神戸女子大学、神戸女子短期、大学兵庫医療大学)とも連携して、防災や健康についての活動をしています。それぞれに福祉や医療、防災など大学ごとに特色をいかしています。
■遠隔地にある大学との連携 〜東北福祉大(宮城)工学院大(東京)〜
近くの大学は、連携しやすいですが、災害にあえば共倒れになる可能性も高いです。遠隔であれば、一つの大学が被害にあっても、二つの大学が助けることが出来るという発想です。
福祉、工学、人文社会など、大学の持ち味が異なっています。防災は、一つの学問分野では研究しきれない学問です。それぞれの大学の強み、特色をいかすことによって、総合的な研究ができます。それぞれの大学の講義をインターネット配信で授業も行っています。目の前に自分の大学の学生、2つの画面にそれぞれの大学の学生がうつっています。リアルタイムに質疑応答をすることもできます。夏休みや冬休みには、集中講義で、3つの大学の学生が集まって授業を受けることもあります。
■「社会貢献学会」と「社会貢献活動支援士」
3月5日「社会貢献学会」を立ち上げます。一般的な学術学会ではなく、社会人や市民の方にもたくさん入っていただきたいと考えています。今まで、大学間連携で培ってきたものを、市民の方に活用していただいて、災害が起きたときに、お互いに助け合えるような知識や能力、実践力を身につけていただきたいと思っています。
「社会貢献活動支援士」という新しい資格も作っていきます。この資格の更新は、3年間で更新するシステムになっていて、資格のための資格ではなく、活動するための一つのツールだと考えています。実際に活動をしたり、学んでいくことが大切だと思っています。
■これから起こるかもしれない
寺田寅彦先生が「災害は忘れた頃にやってくる」という名言を残しています。世界では年間400ほどの災害が起こっています。そう考えると、災害は毎日やってくるということで、この意識が大切だと思います。何か自分ができることをすること、(例えば、現地に行くことができなければ、募金をすることをするなど)視野を広げれば、災害に関わることが大切だと思います。